順列の定義は「選んで並べる」?公式でしっかり理解しよう
順列とは?
順列とは、いくつかのものから何個かを選んで、並べる順番も考える場合の数のことです。
数学では次のように表されます。
$${}_n \mathrm{P}_r =\frac{n!}{(n-r)!}$$
(この式は、異なるn 個のものから、r 個選んで並べるときの計算法を表しています。)
学校では「選んで並べる」と説明されることが多いですが、実際の計算では積の法則を使って「1番目、2番目…と順に選ぶ」と考えることが一般的です。
この2つの考え方──「選んで並べる」と「順に並べる」は、一見違うように思えますが、実は同じ意味になります。
今回は、この2つの考え方がなぜ同じになるのかを、公式的に整理してみましょう。
◆ 積の法則を使った順列の考え方
順列を計算するとき、多くの人が積の法則を使って次のように考えます。
- 1番目は、n 個すべてから選べる→ n 通り
- 2番目は、(n−1)個から選べる →(n−1)通り
- ・・・
- r 番目は、(n−r+1)個から選べる →(n−r+1)通り
これを積の法則で掛け算すると:
$$n \times (n – 1) \times \cdots \times (n – r + 1) = \frac{n!}{(n – r)!} = {}_nP_r$$
この方法は、「順に並べる」ことだけを考えており、最初に「r個を選ぶ」という意識はありません。
◆「選んで並べる」という順列の定義との違いは?
一方、よく「n 個からr 個を選び、並べる」と教えられることがあります。
これを2段階で考えると、次のようになります。
- n 個からr 個を選ぶ → 組合で計算すると\({}_n \mathrm{C}_r\)
- そのr 個を並べる → r! 通り
これを掛け合わせると:
$${}_nC_r \times r! = \frac{n!}{r!(n – r)!} \times r! = \frac{n!}{(n – r)!} = {}_nP_r$$
たしかに、どちらも同じ結果になります。
このように、2段階で考えても、積の法則で一気に考えても、最終的な答えは一致します。
◆ 実は「順に並べる」だけでも選び+並べを同時にやっている
積の法則で考える方法は、「1番目、2番目、…」と順番に選ぶだけで、
実はr 個を選んで並べるという作業を、同時にこなしていることになります。
なぜなら、先にr 個を選び、その後並べるという2段階を踏んでも、最終的には同じ通り数になるからです。
◆ 数式だけではイメージしにくい?
公式で考えると「なるほど」と思えても、実際には
「選んでから並べる」「順に並べる」の違いがイメージしにくい…
そんな方も多いはずです。
そこで、次の記事では、具体例と図を使って、順列を直感的に理解してみましょう。
どちらの考え方も、実際には同じになることを、図で確認するともっと納得できますよ。
👉 続きはこちら:【具体例でわかる】順列は「順に並べる」だけでいい?
◆ 今日のQ&A
順列とは何ですか?
順列とは、いくつかのものから何個かを選んで、並べる順番も考えて数える方法のことです。「順に並べる」と考えるだけでOKですが、よく「選んで並べる」とも言われます。
順列は「選んで並べる」と「順に並べる」で違いがありますか?
実はどちらも同じことをしています。積の法則で「順に並べる」だけでも、自然と「選び」と「並べ」を同時に行っています。2段階で考えても、1段階で考えても、計算結果は同じです。
順列の計算はどのようにすればよいですか?
例えば、n個からr個を順に並べる場合は、n × (n-1) × … × (n-r+1)で求められます。これをnPrとも書きます。