因数分解の基本とは?2次式を1次式の積に分けるコツ
因数分解とは?
「因数分解」とは、展開の逆の操作です。
式をできるだけ 1 次式の積 に分けることが最終目標です。
ただし有理数(整数や分数)の範囲で分けきれない場合もありますが、今回は 文字が1つの有理数範囲の2次式 に絞って解説します。
◆因数分解の基本は「共通因数をくくる」
まずは、最も基本的な形から。
例:\(2x^2+4x=2\cdot x\cdot x+2\cdot 2\cdot x=2x(x+2)\)
共通の \(2x\) をくくり出すだけで、式がすっきり整理できます。
◆ 2 次式は 1 次式 × 1 次式 に分ける
2 次式では、最終的に (1 次式) × (1 次式) の形に分けることがポイントです。
これを理解するには、展開の形 を思い出すとわかりやすいです。
✅ 展開の形を思い出す
\((ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd\)
このとき:
- \(ac\) が 2 次の係数
- \(bd\) が定数項
- 真ん中の 1 次の項の係数は 外側同士の積(a×d)と内側同士の積(b×c)の和
これは、以前学んだ 展開の構造 の「箱から項を取り出して組み合わせる」考え方と同じです。
- 両端(2 次と定数)は、かっこの端同士の積で決まる
- 真ん中の 1 次の項は、外側・内側の組み合わせから生まれる
✅ ステップ 1:2 次の係数と定数項から手がかりを探す
たとえば:
\(x^2 + 5x + 6\)
- 2 次の係数:1 → (x)(x)
- 定数項:6 → (1×6)または、(2×3)
✅ ステップ 2:組み合わせを試す
まず、1 と 6 の組み合わせを試します。
\((x + 1)(x + 6)\)
展開すると:
- 外側:\(x \times 6 = 6x\)
- 内側:\(x \times 1 = x\)
- 上の2つの和: \(6x + x = 7x\)
真ん中の \(5x\) にはならないので、これは NG。
ここで組み合わせを変えて正解を見つける ことが大切です。
次に、2 と 3 の組み合わせを試します。
\((x + 2)(x + 3)\)
展開すると:
- 外側:\(x \times 3 = 3x\)
- 内側:\(x \times 2 = 2x\)
- 上の2つの和: \(3x + 2x = 5x\)
真ん中の 5x と一致!成功!
よって、
\(x^2 + 5x + 6=(x + 2)(x + 3)\)
✅ 2 次式の典型例をもう少し
✔️ 完全平方のパターン
\(x^2+6x+9\)
- 2 次の係数:1 → (x)(x)
- 定数項:9 → (3×3)
真ん中の1次の項 6x は:
- 外側:\(x\times 3 = 3x\)
- 内側:\(x\times 3 = 3x\)
- 和:\(3x+ 3x = 6x\)→ 一致!OK!
よって、
\(x^2+6x+9=(x+3)(x+3)=(x+3)^2\)
✔️ 2 次式の差の形(平方の差)
\(x^2 – 4\)
- 2 次の係数:1 → (x)(x)
- 定数項:-4 → (-2×2)
から、\((x-2)(x+2)\)と予測し展開すると、
真ん中の 1次の項0 は:
- 外側:\(x\times 2 = 2x\)
- 内側:\(x\times (-2) = -2x\)
- 和:\(2x + (-2x) = 0\)→ 一致!OK!
よって、
\(x^2 – 4 = x^2 – 2^2 = (x + 2)(x – 2)\)
✅ 少し複雑な係数の例
\(2x^2 + 5x + 2\)
- 2 次の係数:2 → (2x)(x)
- 定数項:2 → (1×2)
まず \((2x + 1)(x + 2)\)と予測して展開すると:
- 外側:\(2x \times 2 = 4x\)
- 内側:\(x \times 1 = x\)
- 和:\(4x + x = 5x\) → 一致!OK!
よって、
\(2x^2 + 5x + 2=(2x+1)(x+2)\)
まとめ ▶▶▶ 因数分解の基本
- 2 次式は (1 次式) × (1 次式) に分けることが基本
- 2 次の係数と定数項で候補を探す
- 真ん中の 1 次の項は 外側同士と内側同士の積の和
- 合わなければ組み合わせを変えて試す
- 展開の構造を逆にたどるイメージがコツ
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◆ 今日のQ&A
因数分解とは何ですか?
因数分解とは、式をできるだけ1次式の積に分ける操作のことです。展開の逆の操作ともいえます。
2次式の因数分解はどう進めますか?
2次式は、1次式の積の形 \((ax + b)(cx + d)\) に分けることを目指します。まず \(x²\) の係数と定数項から \(a・d\) の候補を考え、1次の係数が \(ad + bc\) になるような組み合わせを探します。
うまく因数分解できないときはどうすれば?
1次の係数(真ん中の項)が合わない場合は、定数の組み合わせを変えて、展開したときに元の式と一致するかを確認しましょう。いくつか試すことで正しい組み合わせが見つかります。