二項定理とは?

二項定理とは?展開の構造から生まれる数学の魔法

「かけ合わせて足す」その先にあるもの

前回のコラムでは、「展開とは、箱から項を選び掛け合わせてすべてを足す操作である」という視点から展開の構造を紹介しました。

たとえば次のような式:

$$(x+1)(x+2)(x+3)$$

このような3つのかっこの積は、「それぞれのかっこから1つずつ項を取り出して掛ける」ことのすべての組み合わせ(8通り)を考え、それらを足し合わせることで展開できます。

この考え方をさらに発展させていくと、「ある1つのかっこの中身を何回もかける」という展開に応用できます。それが、今回のテーマ「二項定理」です。

  • 二項定理は、「同じ2項の和」を何度もかけた展開結果を求めるための定理です。
  • 展開の背景には「どのかっこからどの項を選ぶか」という組合せの考え方があり、\({}_n \mathrm{ C }_r\) が自然と現れます。
  • この考え方は、確率や統計、数学オリンピックの問題にまで応用が可能です。

展開も、確率も、根っこはつながっています。

数学の世界をもっと面白く、もっと深く知りたい方は、ぜひ体験授業をご活用ください。

二項定理とは何ですか?

二項定理とは、式 \((x + a)^n\) を展開するときに使われる法則で、項の係数を組合せ(\({}_n \mathrm{ C }_r\))で求めるものです。

組合せ(\({}_n \mathrm{ C }_r\) )はどんな意味がありますか?

\({}_n \mathrm{ C }_r\)は「n個の中からr個を選ぶ方法の数」を表します。二項定理では、\(x\)を\(r\)回、\(a\)を\((n−r)\)回使うパターンの数を意味します。

二項定理はどんな場面で使いますか?

多項式の展開、確率の反復試行(ベルヌーイ試行)など、繰り返しのある構造の理解に使われます。

具体的にどんな例がありますか?

\((x + 1)^3\) の展開は、\(x³ + 3x² + 3x + 1\) となり、係数はそれぞれ \({}_3 \mathrm{ C }_0,{}_3 \mathrm{ C }_1.{}_3 \mathrm{ C }_2,{}_3 \mathrm{ C }_3\)に対応します。

二項定理と確率はどう関係しますか?

二項定理と反復試行の確率計算は構造が同じです。成功と失敗を何回ずつ選ぶか、という形で組合せを使います。